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スパイス、柑橘類
うま味★★☆☆ / 渋味★☆☆☆
コク★★★☆ / 火入れ★☆☆☆
村上は新潟県にある日本海沿岸の小さな市です。商業的なお茶の産地としては日本の北限の地です。
村上でのお茶の栽培は、村上藩の大年寄だった徳光屋覚左衛門が伊勢神宮参拝の折にお茶の種子を持ち帰ってきたとされる1620年代にさかのぼります。地元自治体の奨励のもとで栽培は急速に広まったようです。
今日の煎茶の基礎、いわゆる宇治製法が導入されたのは1859年になってからのこと。明治時代には、日本茶は重要な輸出商品であり、茶畑は600ヘクタールを数え、村上茶は黄金期にありました。第一次世界大戦以後、村上茶は衰退の一途をたどり、今日では茶畑は25ヘクタールしか残っていません。それでも、熱心な幾人かの生産者のおかげでお茶の栽培は盛り返してきているようです。
北に位置するにも関わらず、村上の年間平均気温はお茶の栽培には十分な温度です。冬には雪が樹々に覆いかぶさり、厳しい寒さから樹々を守ってくれます。この降雪が故に村上では茶樹の高さを低く刈り、雪の重みで枝が折れないようにしています。
春から秋にかけて日照時間はある程度限られ、霧がよく出て湿気があり、甘く渋みの少ない、質の良いお茶の栽培に適した条件です。
この北方の地域では、当然ながら耐寒性のある品種を育成している狭山産の品種をみかけます。
ふくみどりの芳香は、クローヴのスパイシーな香りで少しレモンも感じられます。一煎目はやわらかくあっさりとして渋みはほとんどありません。ふくみどりはほとんどうま味がありませんが、この村上煎茶は淹れてみるとややまったりしています。口内ではスパイシーで少しレモン風味の印象が感じられます。
二煎目もとてもまろやかでより甘くなり、柑橘類の風味がスパイシーな香味に加わってきています。
熱いお湯で淹れる三煎目の香味は、ミルキーで柑橘類も感じられます。そしてやはり渋みが出てきます。
この村上のふくみどりは豊かな味わいのお茶で口の中で余韻が長く続きます。香りに特徴がありますがそれほど強くはなく、どちらかというと伝統的な煎茶となっています。明らかに村上という地域が、飲むと満ち足りた幸せな感覚が得られるような煎茶を生み出しているのです。
茶種: 普通蒸し煎茶
産地 : 新潟県村上市羽下ケ渕
品種 : ふくみどり
摘採 : 2025年5月24日
淹れ方のヒント
茶葉の量: 4g
お湯の量 : 70ml
お湯の温度 : 80°C
浸出時間 : 60s