ふじかおりは印雑131とやぶきたを交配して選抜された品種で、アッサム種との交配種であることから、寒さにはあまり強くありません。つまり茨城県猿島(さしま)の栽培環境は、この品種にとって厳しいというのが正直なところです。しかし、生産者はふじかおりの特徴である強い芳香を生かして、発酵がひかえめな質の良い烏龍を作ろうと努力しています。
一煎目は桃と砂糖漬けのアプリコットのようなフルーティーな香りが特徴で、はっきりとわかる火香によってそのアロマがさらに引き立てられています。また、やや酸味のある赤い果実のニュアンスもわずかに感じられます。
口に含むとこのフルーティーさと軽い香ばしさに加えて、かすかに花の香りも感じられます。しっかりとしたボリュームのある味わいです。
二煎目からは芳香が微妙に変化し、ふじかおりと印雑系品種、両方の特徴が認められます。ジャスミンのような花香と白ブドウによく似たフルーティーな香りが混ざり合った芳香です。一煎目では甘みが強さに対して、二煎目はなめらかで繊細です。口に残る余韻はすばらしく、えも言われぬブドウの香りがたまりません。このふ烏龍茶はふじかおりならではの贅沢さが味わえる、秀逸で美しいバリエーションだと言えるでしょう。
茶種 : 半醗酵茶(烏龍茶)
産地 : 茨城県猿島郡境町山崎
品種 : ふじかおり
摘採 : 2025年5月15日
淹れ方のヒント
茶葉の量: 3g
お湯の量 : 50ml
お湯の温度 : 100°C
浸出時間 : 40s