トロピカルフルーツ、花
うま味☆☆☆☆ / 渋味★★★☆
コク★★☆☆ / 火入れ★☆☆☆
「静-4006」は、未登録の非常に希少な品種です。静岡県の茶業試験場でアッサム雑種から選抜・育成された、静-4000番台と呼ばれる品種群のひとつで、同じ4000番台には「ただにしき(静-4018)」や「ほうりょく(静-4008)」のように登録された品種もあります。いずれの品種も現在ではとても希少ですが、なかでも静-4006は特に珍しく、天竜の山あいが古くからある希少品種の宝庫であることに、改めて気づかせてくれます。
こちらの煎茶は淹れ方の試行錯誤が必要なお茶で、一煎目には乾燥したハーブやほんのり花とフルーツを思わせる甘い香気があり、うま味はほぼありません。淹れ方によっては渋みが多少強くなりますが、甘くすばらしい印象で、しっかりとコクがあります。
二煎目は香りがより繊細になりますが、フルーティーでフローラルな風味は鼻でも口でもしっかりと感じられ、柑橘のニュアンスも感じられます。熱いお湯で淹れた三煎目はフローラルさとスパイシーさがメインになり、その渋みにもかかわらず、全体の甘くフルーティーな印象は変わりません。
もちろん一煎目から熱湯で淹れ、それに合わせて他の条件を調節することで、この芳香の特徴を最初からしっかりと際立たせることも可能です(ただし、煎ごとの味の変化はなくなります)。
つまりこのお茶は決して万人受けするものではありませんが、煎茶の力強さと淹れ方の試行錯誤を楽しむことができる、通のお茶好きの方にこそお勧めしたいお茶です。渋みが強く、それでいてとてもまろやかな煎茶で、力強く甘い後味にも注目です。
茶種 : 普通蒸し煎茶
産地 : 静岡県浜松市天竜区竜川
品種 : 静-4006
摘採 : 2025年5月4日
淹れ方のヒント
茶葉の量: 4g
お湯の量 : 70ml
お湯の温度 : 90°C
浸出時間 : 30s