伊藤美月氏は、陶芸作家として長いキャリアをとおして数多くの賞や栄誉を受賞し、萬古焼作家としてはおそらくもっともその名が知られる人物です。
彼の作品で注目すべき点は、その陶土です。彼は自ら「赤土」と呼ばれる陶土を非常に細かいふるいにかけ、その後、数年寝かした土を使用しています。この寝かせる時間が、良質の土を作るのに大変重要な要素になります。
粒子が非常に細かいこの土で作った作品を還元焼成で２度焼きすることで、萬古焼特有の艶やかで見事な深紅の色彩を発色した「紫泥」の作品が生まれます。この色彩と独特の質感が美月作の急須の魅力なのです。
「満月」と名付けられたこちらの急須は、美月氏の作品を代表する急須です。